茶道の銘|5月【一覧】

季節の銘
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『mame-sadou.com』にようこそ、表千家流の茶道講師・やましたです!

茶道の銘のうち、5月に使われる主な銘を一覧にまとめた記事です。

茶道の世界には細やかな季節感があり、季節ごとの言葉が、主菓子や茶杓などの道具の銘としてつけられ、
お茶会で、お稽古で、いつも私たちを楽しませてくれます。

この記事を読むことで、そんな主な茶道の5月の銘を、一通り確認していただけます!

では早速見ていきましょう!

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5月の銘

お茶の世界では5月から風炉で、夏向いた銘が使われだします

青楓(あおかえで)

楓の若葉のこと

「若楓」とも

青葉(あおば)

初夏の頃の青々とした木々の葉のこと

一声(いっせい)

一度出す声や鳴き声のことだが、夏の銘としては、特に夏を告げる鳥・ホトトギスの鳴き声を指します

岩藤(いわふじ)

植物・ニワフジ(庭藤)の別名

杜若(かきつばた)

初夏の頃に咲く、アヤメ科の植物

花の姿がツバメの飛ぶ姿を思わせるため、「燕子花」とも書きます

郭公(かっこう)

初夏に南方より渡来し、秋に帰るカッコウ科の鳥のこと

「閑古鳥(かんこどり)」ともいいます

唐衣(からころも)

中国風の衣装のこと。袖が広く裾が長く、上前と下前を深く重ねて着ました

「唐衣」を枕詞とした、下の在原業平による『伊勢物語』の中での歌があります

「唐衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」

この歌の中に「か・き・つ・ば・た」の五字が入っているため、「杜若」にかけて夏の季語とされています

水鶏(くいな)

クイナ科の鳥のこと。特にヒクイナ(ナツクイナ)を指していいます

北海道・東北で繁殖して、10月頃に本州以南に移動します(フユクイナ)

薫風(くんぷう)

爽やかに吹く初夏の風のこと

野山や谷、水上を吹き抜けて、その香りを運んできます

「薫風自南来」の禅語でもよく知られています

「風薫る」も同様の意味

苔清水(こけしみず)

山中で、苔むした緑色の岩の間から、湧き出る水のこと

他にも磯部で湧き出る「磯清水」や、湧き出て草の間を流れてくる「草清水」などもあります

更衣(ころもがえ)

季節に応じて衣服を改めること

古く宮中では、旧暦4月1日、10月1日に行われました

茶道の世界でも現在、5月から風炉、11月から炉、と入れ替わります

早乙女(さおとめ)

稲の苗を植え付ける女性のこと

颯々(さつさつ)

風が吹き渡る様。またその音を表現した言葉

早苗(さなえ)

苗床で育てて、本田へ移し植える頃のみずみずしい稲の苗のこと

「早苗月」は旧暦5月の異称

早苗の美称は「玉苗」といいます

五月雨(さみだれ)

旧暦5月に降る雨のこと。つまり梅雨時の雨のこと

現在では新暦の5月に降る雨に対しても使われます

山景(さんけい)

山の景色、山中の景色のこと

山色(さんしょく)

緑輝く山の景色を称賛する言葉

松涛(しょうとう)

松に風の吹く音を、波にたとえた言葉

菖蒲(しょうぶ)

サトイモ科の多年草で、水辺に群生し、初夏に花を咲かせます

「あやめ」「あやめ草」は菖蒲の古称ですが、アヤメ科のハナショウブやカキツバタ・アヤメとは別種です

新緑(しんりょく)

初夏の初々しい若葉の緑のこと

清泉(せいせん)

清く澄んだ泉・湧き水のこと

青苔(せいたい)

緑色の苔のこと

山間にある家の美しい風景のことを指す「青苔黄葉」という言葉があります

清流(せいりゅう)

川などの、清らかに澄んだ流れのこと

遠山(とおやま)

遠くに見える山のこと

風炉の中に作る灰の形で、山のように盛る形を「遠山灰」という

常盤(ときわ)

常に変わらない岩のこと

その常に変わらないというところから、常緑樹の葉が常に色を変えないこともいいます

雲雀(ひばり)

スズメ目ヒバリ科の鳥のこと

藤波(ふじなみ)

山野に自生している藤の花が、風になびいて波のように揺れている様子を表す

弁慶(べんけい)

源義経に仕えたとされる武蔵坊弁慶のこと

旧暦4月末が命日

時鳥(ほととぎす)

初夏に渡ってきて、晩秋に帰る鳥の一つ

「杜鵑」「不如帰」「子規」と、様々な感じが当てられています

また、「田長鳥(たおながどり)」「妹背鳥(いもせどり)」「沓手鳥(くつてどり)」「卯月鳥(うづきどり)」と、様々な異称があります

山影(やまかげ)

山の姿。山の形。または、それが水に映った姿

山の井(やまのい)

山中の湧き水がたまってできた井戸のこと

緑陰(りょくいん)

青葉茂る木の陰のこと

少しは日が差して明るさが残っているのが「緑陰」で、さらに暗いのは「木下闇(こしたやみ)」といいます

若葉(わかば)

特に初夏の木々の、みずみずしい葉のことを表す言葉

若緑(わかみどり)

松の枝先から出る新芽のこと

まとめ

ということで、5月の銘をまとめますと

青楓・青葉・一声・岩藤・杜若・郭公・唐衣・水鶏・薫風・苔清水・更衣・早乙女・颯々・早苗・五月雨・山景・山色・松涛・菖蒲・新緑・清泉・青苔・清流・遠山・常盤・雲雀・藤波・弁慶・時鳥・山影・山の井・緑陰・若葉・若緑

緑の美しさや、鳥や、風などを表す、初夏の爽やかさを感じる銘が多いですね

この記事が、5月の銘を調べているみなさま、茶杓や主菓子に使える銘を探しているみなさまの、お役に立ったならばうれしいです

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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