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七事式とは何かを解説した記事です。
七事式とは、表千家、裏千家、江戸千家などの茶道流派で行われている、特殊な稽古法で、江戸時代に制定されました。
その制定された経緯・歴史と、表千家の内容について解説しています。
この記事を読み終えることで、七事式とは何か、経緯と表千家の内容について、一通り把握していただけるはずです!
では早速見ていきましょう
七事式とは
七事式とは、7種類の特殊な稽古法
七事式とは、茶道における精神・技術をみがくために制定された、7種類の特殊な稽古法のことです
① 数茶(かずちゃ)
② 廻花(まわりばな)
③ 廻炭(まわりずみ)
④ 且坐(さざ)
⑤ 茶カブキ(ちゃかぶき)
⑥ 一二三(いちにさん)
⑦ 花月(かげつ)
この7種類です
それぞれに「禅の精神」による裏付けがあります
七事式の歴史
表千家7代・如心斎の時代に完成
七事式は、表千家7代・如心斎(1705−1751)が、弟である裏千家8代・又玄斎(1719‐71)や、川上不白(江戸千家の初代。1719−1807)ら高弟と相談して完成させました
七事式を完成させた、如心斎・又玄斎の兄弟はそれぞれ、表千家・裏千家の中興とされています
ですから、表千家・裏千家・江戸千家などの千家筋で伝わっています
完成された正確な年はわかっていませんので、如心斎の没年までに完成されたとされています
七事式が作られた経緯
この七事式がつくられた経緯については、以下のようなものとなります
江戸時代中期、如心斎の時代になると、町民の茶道人口がかなり増加してきました
町民の間での茶道というのは、自分で茶室や茶道具を持って、お茶会を行うことを目的とするものよりも、お稽古自体が目的とするものが多くなります
これは現代の茶道にも通じる状況かと思います
そうなるとお稽古を、より変化あるものに、また、より緊張感を持ってできるものに、ということが求められるようになり
禅の精神に基づいた、特殊な7種類の稽古法・七事式が制定されました
七事式の内容
数茶(かずちゃ)
七事式の中で、最もゆるやかなものとされます
点てられた薄茶を、その時引いた札で当たった者が飲む、というものです
客役は、亭主役のお点前中にそれぞれ一枚ずつ札を取っておき、一服点つごとに、札元(末客)が全ての札が入った折据から一枚札を引き、それと同じ札を持っているものが出されたお茶を飲みます
廻花(まわりばな)
その名の通り、主客が順々に、一つの花入れに花を入れていくものです
前の景色を受け、工夫して花を入れる鍛錬となります
廻炭(まわりずみ)
炉の時にのみ行うことができます
その名の通り、客と亭主が順々に炭をついでいくものです
自分のつぐ炭を工夫する、炭を入れる鍛錬となります
且坐(さざ)
茶事(正式なお茶会)の内容を集約したものです
客3人と亭主・半東の5人で行います
正客が花を生け、次客が炭をつぎ、三客が香をたき、亭主は濃茶、半東が薄茶を点てます
茶カブキ(ちゃかぶき)
室町時代に流行した「闘茶」に起源があります
3種類の濃茶を飲み、どれがなんのお茶であるかを当てるというものです
やり方としては、亭主役が点てた、まず2種の試茶を飲み味を覚えておき、その後3種類の本茶を順に飲み、予想します
執事という記録係が、紙に一人ずつの正誤をつけ、全て当たったものが出た場合には、その紙はその者に渡されます
一二三(いちにさん)
七事式のうちで、最後に作られました
亭主役が濃茶点前を行い、客役が点数を表す札を選んで投票し、亭主の点前を評価するというものです
花月(かげつ)
七事式の中で最も難解で、厳格とされます
五人で行い、一服点てるごとに一人ずつ札を引き、「花」の札が当たった者が次のお点前、「月」の札が当たった者が出されたお茶を飲む、というものです
難解さがあり、「花月百回、月朧」と言われます
「花月は百回行って、やっと朧月程度わかる」という意味です
まとめ
ということで、七事式についてまとめますと
・七事式は、「数茶」、「廻花」、「廻炭」、「且坐」、「茶カブキ」、「一二三」、「花月」という7種類の特殊な稽古法のこと
・表千家7代・如心斎が、弟である裏千家8代・又玄斎や、川上不白ら高弟と相談して完成させた
・江戸時代中期、茶道人口の増加に伴い、お稽古に変化を加える必要からつくられた
お稽古に変化を加えるためにつくられた七事式は、現代に茶道をお稽古する我々にも、非常にありがたい存在ですね
以上です
この記事が、七事式について調べているみなさまの、お役に立ったならば嬉しいです
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!