『mame-sadou.com』にようこそ、表千家流の茶道講師・やましたです!
表千家・炉の運びの薄茶点前の手順を、画像付きで解説した記事です。
運びの薄茶点前は、すべてのお点前の基本となるお点前。茶道初心者の方に、予習・復習に使っていただければと作成しました。
行程の確認だけササっとしたい方は、目次を流し見していただいたら早いですし、
画像多めで、細かいことまで書いていますので、しっかり確認したい方にもお役に立つはずです!
では早速見ていきましょう!
表千家流・炉の運びの薄茶点前
準備
薄茶の運び点前の場合、点前畳には棚も何もありません。
水屋で、水指・お茶碗(茶巾・茶筅・茶杓を仕組んで)・薄茶器・建水(蓋置・柄杓を仕組んで)を運べるよう準備します。
お点前
道具を運び出す
①茶道口で水指を前に置き、礼をします。
②そのまま水指を点前畳に運び込み、所定の位置に置きます。
③両手で薄茶器と茶碗を持ち出し、水指の前に同時に置きます。
④建水を左手で脇に持ち運び出し、水指に向かい座り、建水は風炉先屏風にかからないように脇に置きます。
この時、男性はすでに居前(炉縁の内角を向いて)に座ります。
⑤両手で膝をくって、居前に(炉縁の内角に向いて)座ります。(男性はすでに向いています)
⑥左手で柄杓を少し浮かせ、その隙間から右手で蓋置を膝上までだし、柄杓は元に戻し、蓋置を左手に乗せ右手で持ち直し、所定の位置に置きます。
⑦柄杓の節のあたりを左手で持ち、自然と自分向けて持ってきて、右手で節から切り止め(先)の真ん中を持ち、柄杓を蓋置に掛け、礼をします。
男性の場合、柄杓を引くまでの流れが女性と異なります。
建水を持ってきて居前に座ると
①柄杓を左手でとり自分向けて持ってきて、構え
②右手で蓋置をとり、所定の位置に置き
③柄杓を蓋置にかけます
⑧ここでしっかりと座る位置・着物の襟や裾を整え、心の準備をしてからお点前に入っていきます。
薄茶器・茶杓を清める
①建水を体の横にあげます。この時は風炉先屏風にかかっても大丈夫です
②左手でお茶碗を膝上に持ってきて右手に持ち替え、膝前遠い位置に置きます。
③薄茶器を右手で取り、一手でお茶碗と膝との間に置きます。
④袱紗をさばいて畳み、薄茶器を清め、水指から炉縁の角の間の、所定の位置に置きます。
⑤袱紗をさばいて畳み直し、茶杓を拭き、薄茶器の上に乗せます。
⑥袱紗を左手に持ったまま、右手で茶筅を取り出し、水指と炉縁の間の所定の位置に置き、お茶碗を少し手前に引きます。(男性はここで袱紗をつります)
茶筅通し
①袱紗を一つ開き、右手で右膝頭・横に置き、柄杓を持ち上げ、構えます。
(男性は釜の蓋を開けるのに袱紗を使いません)
②構える形を作ると右手を離し、右手で袱紗を横から持ち、釜の蓋にのせ、袱紗越しに蓋のつまみを持ち、蓋置に乗せます。
それから袱紗を建水の下に置きます。
この時、蓋はまっすぐ蓋置に向かうのではなくて、炉縁の角を迂回するように手前から円を描くように動きます。
③袱紗を置くと、右手でそのまま、お茶碗の中の茶巾の向こう側・折り返している部分をつまみ、釜の蓋のつまみに、立てかけるように置きます。
④柄杓を掬う形に持ち直し、釜からお湯を一杓(八分目ほど)くんで、お茶碗に全て入れます。
⑤柄杓を釜の口に、伏せて掛けます。
⑥柄杓を右手で持ち、茶筅通しをしていきます。
⑦茶筅通しが終わると、茶筅を元の位置に立てます。
お茶碗を清め温める・ふく
①お湯が入ったお茶碗を右手で持ち上げ、膝の上で左手に乗せ、両手で2周半回してお茶碗を清め、温めます。
お茶碗を温めるために回しているので、お茶碗の厚みによってスピードを調整し、しっかり温めます。
②左手でお茶碗をしっかり持ち、建水にお湯を捨てます。
③左手でお茶碗を持ったまま、右手で茶巾を元通り真ん中に入れ、手前の膨らんでいる部分を右手でつまみ、左手の親指の外側に出します。(下画像)
④お茶碗を三度で正面が手前にくるように回し拭きます。
⑤茶巾をお茶碗の中に入れ、お茶碗を膝前に置きます。
⑥茶巾を釜の蓋に立てかけるように置きます。
抹茶を入れる
①右手で茶杓を膝上に持ってきて、それから左手で薄茶器を膝上に持ってきます。
この時、茶杓は櫂先を少し下げ気味にしておきます。
②茶杓を右手の薬指と小指で握りこみ、残りの指で薄茶器の蓋を開け、お茶碗の右横に置きます。
③左手の薄茶器本体を、お茶碗の左横に寄せ、浮かせ持ち、口をお茶碗側に少し傾けます。
④茶杓を右手の中で掬える形に持ち直し、山のできるだけ向こう側から一杓、二度目は半杓、掬ってお茶碗の中に入れます。
⑤左手の薄茶器は膝上に戻ってきて、右手の茶杓を使い、入れた抹茶をさばいていきます。
⑥茶杓を元の持ち方に持ち替え、お茶碗の縁で二度打って抹茶を払います。
⑦茶杓を握り込み、その手で薄茶器の蓋を閉め、まず左手の薄茶器、続いて右手の茶杓を元の位置に戻します。
⑧水指の蓋を開け、水指に立てかけます。
お茶を点てる
①右手で柄杓をお湯を汲むように取り、そのまま浸けていきお湯を一杓(八分目ほど)汲み、お茶碗に半分ほど入れ、柄杓は元に戻します。
②右手で茶筅を取り、左手をお茶碗に添え、点てていきます。
お茶を点てる際には、
①抹茶の粉を溶かしきること
②泡立てること
を意識すると上手く点てられますよ!
③点て終えると、茶筅で「の」の字を書くように一周回し整え、両手お茶碗から離れ、茶筅を元の位置に戻します。
④右手でお茶碗を取り、左手にのせ右手を持ち直し、釜の蓋の手前あたりに置きます。
⑤お茶碗の正面に座れるように、両手をついて膝をくります。
⑥右手でお茶碗を持ち上げ左手に乗せ、反時計回りで二度で正面が向こう向くように、180度回し、所定の位置に出します。
男性は居前のままお茶碗を回して出します。
⑦膝をくり居前に戻り、「頂戴します」の礼を受けたら、袱紗をつり、続いてお茶を点てていきます。
お仕舞いの挨拶をする
薄茶では客から「お仕舞いください」の声が掛かると、お仕舞いに入ります。
①お仕舞いの際は、替えのお茶碗を取り込み、お湯でお茶碗を清めて建水に開けたところで、
正客から「どうぞお仕舞いください」と挨拶があるので、お茶碗を持ったまま軽く右手をつき受けます。
②お茶碗を右手で膝前に置き、「お仕舞いにいたします」と手をつき挨拶をします。
茶筅すすぎ
①右手で柄杓を持ち、合が左に倒れる形で膝上で左手を添え、掬える形に右手を持ち替えます。
②水指の水を一杓汲んでお茶碗に入れます。
③右手で茶筅を取り「茶筅すすぎ」をして、終えると元の位置に戻します。
道具を仕舞っていく
①お茶碗を右手で取り、左手に持ち替え水を捨て、そのまま左手で膝上で持ち、右手で茶巾をお茶碗の中に入れます。
②茶筅を元通りに置き、建水を元の位置に下げ、袱紗をさばき畳み、茶杓を拭いてお茶碗にかけます。
ここは男性は違っていて、茶筅を置くと、
①茶杓を持ち
②建水を下げる
③茶杓を持ったまま袱紗をさばき畳む
となります。
③薄茶器を右手で一手で水指前・最初の位置に置き、右手でお茶碗を取り、左手で薄茶器の横に置きます。
④右手で柄杓を取り、左手を添え持ち替え、水指の水を釜に一杓ずつ、二度補充して、柄杓を構えます。
⑤それから右手を離して釜の蓋を閉め、柄杓を蓋置に引きます。
⑥水指の蓋を、開けた時と逆の手順で閉めます。
道具を水屋に下げる
①柄杓を右手で取り左手を添え、右手が節を上から持つように上がります。
②蓋置を左手で取り、右手にもたせます。蓋置の正面は柄の切り止め側を向くようにします。
③左手をついて水指に向くように膝をくり、建水を持ち、立ち上がります。
④右足→左足と客側にお尻を向けるように下げ、右足をかけ、水屋に下がります。
⑤薄茶器と茶碗を持って水屋に下がります。
⑥水指を持ち、茶道口で置き、最後の礼をします。
運び点前の特徴
運びのお点前とは
運びのお点前というのは、棚を使わず、点前畳に何もない状態で、水指から運び出しお点前していくお点前です。
道具を飾り付けておく棚を用いたお点前に比べ、非常に侘びたお点前といえます。
小間によく似合う
運び点前は、その侘びた風情から、4畳半以下の茶室(小間)によく似合います。
お稽古では広さに関係なく行われますが、お茶会などでは、広さを意識して、運び点前がふさわしいかどうか考えたら良いでしょう。
厳密に言うと、小間の茶室には棚は似合わないですし、広間の茶室には運びはあまり似合いません。
炉の時期最初のお稽古に行われやすい
運びのお点前は、すべてのお点前の基本とされています。
ですので、炉のお稽古が始まる最初・11月に行われることが多いです。
同様に、風炉の最初・5月には、風炉の運び点前がお稽古される場合が多いです。
まとめ
ということで、表千家流・炉の薄茶点前の手順についてまとめてきました。
運びのお点前は、すべてのお点前の基本となるお点前ですから、手順をしっかり身につけたいところです。
行程の流れを確認したいだけの時には、ササっと目次を流し読みして、細かいところを確認したい時はしっかり読んで、と活用してください!
この記事が、茶道を始められたみなさまの、お役に立つ記事となれば嬉しいです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!