表千家流の「供茶」(「お茶とう」とも)のお点前について、画像付きで解説した記事です。
供茶とは、仏前にお茶をお供えすること、またそのお点前を指します。
時期としては、3月頃の利休忌・9月頃の天然忌の頃に行われることが多いです。
供茶のお点前は、普段から頻繁にするものではないので、なかなか勉強する機会がないお点前です。
この記事では、表千家の供茶のお点前の手順について、画像も用いて、初めて学ぶ人にもわかりやすくを意識して解説しています。
供茶のお点前は、人ではなく仏様に用意するからこその、他のお点前にない構成になっています。
表千家で茶道をしている方は、ぜひ予習や復習にお使いください!
では早速見ていきましょう!
供茶を行う時期
千家で供茶(お茶とう)のお点前が最もよく行われるのは、千利休の命日にちなむ3月〜4月頃です
床に利休さんの画像などを掛けて、供茶のお点前でお茶を供えるということが行われます
これが正式な会になると「利休忌」と呼ばれます
それ以外でも、お茶を供えたい時には、いつでもこの供茶のお点前で供えることができます
表千家・供茶のお点前
供茶のお点前は「運び」でもできますが、基本的に棚を使って行うので、この記事では棚を使う場合で解説していきます
準備
供茶の際は薄茶点前となります
お点前の前の準備として、棚の天板の上に天目台にのせた天目茶碗を飾っておきます
この状態でお点前を始めます
お点前
棚にのせた天目茶碗のことは忘れて、いつも通りの薄茶点前をしていきます
茶碗を建水の上に置く
お点前の行程が茶筅とおしに入り、一度茶碗の中で茶筅を回し、茶碗の中で右側に茶筅を倒すと
そのままの状態で、両手で建水の上に置きます
天目茶碗を下ろす
棚の方に向き直り、天目台ごと天目茶碗をとります。天目台ごと天目茶碗を持つ時には、羽を持ちます(下画像)
天目台・天目茶碗を体を少しひねり居前に置くと、自分も手をつき膝をくり、居前に向き直ります
天目茶碗を清める
お湯を半杓汲んで、天目茶碗に入れ、天目茶碗のみを両手で持ち上げ、いつものお点前同様に回し、清めます
清め終えるとお湯を建水に捨て、天目茶碗は茶巾で拭かずに、天目台に両手でのせます
お湯を入れる
すると、普段とは異なり、先にお湯を汲み、天目茶碗に入れます
普通のお点前では、「抹茶を入れる→お湯を入れる」の順番ですね
お湯はいつも通りに一杓汲み、半分弱入れます
抹茶を入れる
いつものように棗を扱い、いつも通りに、抹茶を二回にすくい入れます
それから茶杓を、天目茶碗の内側の壁に当てる感じで、コンコンとし、茶杓についた抹茶を落とします
供茶のお点前では茶筅は使いません!
天目茶碗を出す
いつものお点前の手順で天目台・天目茶碗を出します
つまり、女性は一旦脇に置き、向き直って回して出し、男性はその場で回して出します
天目台を出すときの回し方は、「四方回し」となります
いつものお点前に戻る
天目台・天目茶碗を出し、客(半東)が床に供えたところで、全員で礼となります
その礼を終えると、先ほど建水の上に置いておいた、茶筅入りのお茶碗を両手で膝前に戻し
あとはいつものお点前に戻ります
床に運ぶ
天目台・天目茶碗を床に運ぶのは、客か、いれば半東の仕事です
出された天目台の正面に座り、羽を両手で持ち上げ(下画像左)、それから右手は天目台と天目茶碗、両方を支えるように横からに持ち替えます(下画像右)
膝を少しくり立ち上がり、床の前まで歩いていき、座ります
そして天目台の羽を両手で持つ形に右手を持ち替え、お点前のところで説明した、「四方回し」で床の方に正面を向けて、床の中央に置きます
ここでその場にいる全員で礼となり、無事供茶の完了です
供茶のお点前:まとめ
ということで、供茶(お茶とう)のお点前についてまとめますと
・茶筅とおしに入るまではいつものお点前
・清めた天目茶碗は茶巾で拭かない
・先にお湯を入れ、それから抹茶
・茶筅は使わない
・天目台を回す時は「四方回し」
貴人に対する天目台・天目茶碗を使ったり、茶巾や茶筅を使うのを避けるところに
供茶のお点前とは仏様にお供えするお茶を用意すること、というのを非常に感じるお点前です
茶巾や茶筅は俗のものということでしょう
この記事が、「供茶」「お茶とう」のお点前について調べているみなさまの、少しでもお役に立ったならば嬉しく思います
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!