『mame-sadou.com』にようこそ、表千家流の茶道講師・やましたです!
表千家・二重棚のお点前・飾りについて解説した記事です。
基本となる薄茶点前について画像付きでまとめていて、二重棚の一種である糸巻棚の構造についても説明しています。
茶道初心者の方の予習・復習用に作成した記事です。この記事が、茶道をしているみなさまの、お役に立てば嬉しいです!
では早速見ていきましょう!
二重棚と糸巻棚
二重棚は、地板に加えて中板・天板と二重に板がついた棚です
同じような形で、糸巻棚と呼ばれる棚を見たことがある方もいらっしゃるかと思います
糸巻棚は、二重棚の一種で、扱いは同じです
二重棚と同じ構造で、中板に「糸巻」の透かしが入ったものを「糸巻棚」といいます(上の画像)
↑糸巻とは、こんなのです。裁縫用の糸を巻くための道具です
うちにあるのは糸巻棚なので、この記事では糸巻棚で解説していきます
二重棚のお点前
二重棚のお点前は、地板なしとする事もできるのですが(この事については後ほど解説します)
そこを除けば、多くの棚を使ったお点前と同じく、棚の飾り方・飾りの崩し方がポイントになります
その他の部分は、他のお点前と同じです。他のお点前と共通の部分については下の記事で解説しています!
ですので、二重棚のお点前の解説として、地板ありの形での、基本の薄茶点前の飾り方・飾りの崩し方を説明していきます
二重棚の飾りは三飾りまであります
・初飾り
【地板】水指
【中板】薄茶器
【天板】なし
・二飾り
【地板】水指
【中板】薄茶器
【天板】柄杓と蓋置を「入り飾り」に
・三飾り
【地板】水指
【中板】薄茶器
【天板】右端(客付)に柄杓・蓋置の順でまっすぐに
(左から順に)初飾り・二飾り・三飾り
お点前の流れとしては、お稽古場では、基本的には以下のような流れとなります
①一人目は、初飾りを崩し→二飾りを残す
②二人目は、二飾りを崩し→三飾りを残す
③三人目は、三飾りを崩し→初飾りを残す
以後、①→②→③→・・・と繰り返し
以下、見ていただきやすいように、この記事では飾りごとにまとめているのですが
ですから、実際のお点前の手順をイメージしたい方は、上の順で見ていってください
初飾りの飾り方・崩し方
飾り方
水指の蓋を閉めるところまでは普段のお点前と一緒です
①柄杓・蓋置を仮置きする
水指の蓋を閉めると、柄杓を右手で取り自然に左手で節を裏から持ち、建水に合を落として掛けます
それから蓋置を右手で取り(炉の時は左手に乗せ棚の前に向き直り)、左手で建水下に滑り込ませます
②薄茶器を飾る
お茶碗を仮置きします
・炉の時は、左手で取り右手で仮置き
・風炉の時は、右手で取り、左手を添えて持ち直してから右手で仮置き
それから薄茶器を一手で中板の中央に飾り、初飾りの完成です
③道具を持って帰る
そして柄杓を左手で取り右手で正面に持ち直し、蓋置を左手で取りこれも右手に持たせ
左手で建水を持ち、水屋に帰り、以後片付けていき、最後に水指に水を注いで、お点前を終えます
崩し方
お点前の最初、持ち出したお茶碗を左手で仮置きし、中板の薄茶器を一手で棚前少し右に
そして仮置きしていたお茶碗を置き合わせます
・炉の時は、左手で取り、右手を添えて持ち直してから左手で
・風炉の時は、左手で取り右手で
それから建水を持ち出して、以降は一般的な薄茶点前と同じです
二飾りの飾り方・崩し方
飾り方
水指の蓋を閉めるところまでは普段のお点前と一緒です
柄杓は飾るので湯返しをしておきます
①柄杓・蓋置を「入り飾り」に
水指の蓋を閉めると、柄杓を右手で取り自然に左手を添え、右手が切り止め付近まで下がり
その右手で天板に仰向けで斜めに飾ります
蓋置を右手でとり左手に乗せ(炉の時は棚の方に向き直り)、蓋置を右手で持ち直し天板に飾ります
蓋置の飾る位置は、柄杓の合の真下、節の真横になる位置です
柄杓と蓋置で「入」の字を作るように見えるため「入り飾り」といいます
②薄茶器を飾る
お茶碗を仮置きします
・炉の時は、左手で取り右手で仮置き
・風炉の時は、右手で取り、左手を添えて持ち直してから右手で仮置き
それから薄茶器を一手で中板の中央に飾り、二飾りの完成です
③道具を持って帰る
柄杓・蓋置・薄茶器を飾り終えると、普通のお点前同様、建水から水屋に持って帰っていき
最後に水指に水を注いで、お点前を終えます
崩し方
お点前の最初、持ち出したお茶碗を左手で仮置きし、中板の薄茶器を一手で棚前少し右に
そして仮置きしていたお茶碗を置き合わせます
・炉の時は、左手で取り、右手を添えて持ち直してから左手で
・風炉の時は、左手で取り右手で
建水を持ち出すと、天板の蓋置を右手で取り左手に乗せ、(炉の時は居前に向き直り)右手で蓋置をいつもの位置に置きます
それから右手で柄杓を取り、左手を自然に添えて、右手で蓋置に掛け、礼
以降は一般的な薄茶点前と同じです
三飾りの飾り方・崩し方
飾り方
水指の蓋を閉めるところまでは普段のお点前と一緒です
柄杓は飾るので湯返しをしておきます
①柄杓・蓋置を飾る
水指の蓋を閉めると、柄杓を右手で取り自然に左手を添え、右手が切り止め付近まで下がり
その右手で天板の右端にまっすぐに飾ります
蓋置を右手でとり左手に乗せ(炉の時は棚の方に向き直り)、蓋置を右手で持ち直し天板の柄杓の節の真横に飾ります
この時、柄杓・蓋置が天板・右端3分の1におさまるほど寄せて置きます
②薄茶器を飾る
お茶碗を仮置きします
・炉の時は、左手で取り右手で仮置き
・風炉の時は、右手で取り、左手を添えて持ち直してから右手で仮置き
それから薄茶器を一手で中板の中央に飾り、三飾りの完成です
③道具を持って帰る
柄杓・蓋置・薄茶器を飾り終えると、普通のお点前同様、建水から水屋に持って帰っていき
最後に水指に水を注いで、お点前を終えます
画像は蓋置が大きくちょっと中央寄りですが、もう少し柄杓寄りに置きたいところです
崩し方
お点前の最初、持ち出したお茶碗を左手で仮置きし、中板の薄茶器を一手で棚前少し右に
そして仮置きしていたお茶碗を置き合わせます
・炉の時は、左手で取り、右手を添えて持ち直してから左手で
・風炉の時は、左手で取り右手で
建水を持ち出すと、天板の蓋置を右手で取り左手に乗せ、(炉の時は居前に向き直り)右手で蓋置をいつもの位置に置きます
それから右手で柄杓を取り、左手を自然に添えて、右手で蓋置に掛け、礼
以降は一般的な薄茶点前と同じです
二重棚の総飾り
二重棚は総飾りもできます
飾り方は上の画像のようになります
総飾りのお点前の詳しい流れについては、下の記事をご覧ください
最後、お茶碗と薄茶器を飾る際には、二重棚の場合
まず右手の薄茶器を飾り、それからお茶碗を右手に持ち替え飾ります
柱があり飾りにくいので、一つずつとなります!
二重棚を地板なしで使う場合
二重棚は、地板なしで使う事もできるのですが、地板ありの場合と何が違うかといいますと
地板なしで使う場合は、水指を飾っておきません
つまり、お点前のはじめに水指を運び出し、お点前の終わりに水指を持ち帰ります
違いはこれだけです!
水指は持って帰るので、水次やかんも使いません
二重棚のお点前:まとめ
ということで、二重棚(糸巻棚)のお点前についてまとめますと
・三飾りまである
・二重棚の一種に糸巻棚というものがある
・地板は外すことができ、その場合、水指を運び出す形となる
三飾りまでありますし、地板を外すことでお点前も変わりますし、お稽古に幅が出せる便利な棚です
地板のあるなしで趣もかなり変わるのも、他の棚にない特徴ですね
以上です!
この記事が、二重棚・糸巻棚について調べているみなさまの、少しでもお役に立ったなら嬉しく思います
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!