【禅語】「春水満四澤」の意味・解釈|原典の漢詩から解説

掛軸の禅語
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禅語「春水満四澤しゅんすいしたくにみつの意味・解釈を、原典から解説した記事です。

この言葉の原典は、陶淵明作とされる漢詩です

春先の茶の湯の世界で、掛軸として掛けられることが多い言葉なので、茶道をしている方には馴染み深い禅語ではないでしょうか。

この記事を読むことで、そんな禅語・春水満四澤とは何か、原典の漢詩から日本語訳、意味の取り方・解釈まで、一通り知っていただけるはずです!

それでは早速見ていきましょう

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「春水満四澤」の日本語訳

「春水満四澤」を書き下し文にすると、「春水 四澤に満つ」となります

それぞれの語の意味は

「春水」=「春になって雪や氷が解けて流れ出す水」

「満」=「満ちる」

「四」=「あちこちの」とか「すべての」

「澤」=「沢」

「四」については、単なる数字を表すのでなく、「東西南北すべての方角の」というような意味合いで使われることがあり、この禅語ではその意味でとった方が通じやすいです

例えば、「四海」で「世界中の海」というように取れたりします

ということで、日本語にすると

「春には雪解け水があちこちの沢に満ちてくる」

となります

「春水満四澤」の原典

「春水満四澤」の原典は、陶淵明作といわれる『四時歌』と呼ばれる漢詩です

「四時」とは「四季」の事で、春夏秋冬を五語四句に描いています

春水満四澤
夏雲多奇峰
秋月揚明輝
冬嶺秀孤松

春は雪解け水があちこちの沢を満たす
夏は多くの雲が奇妙な嶺に似た形を作る
秋は月が明るく輝き中天に揚がる
冬は嶺に独り立つ松の姿が際立つ

このうちの春の部分が、「春水満四澤」です

「春水満四澤」だけでなく、夏・秋・冬についてもそれぞれ独立して、掛け軸にされていること・禅語として扱われることがよくあります

「春水満四澤」の意味

原典がこのように、春夏秋冬を歌った詩なので「春水満四澤」の禅語には、その五語の意味だけではなくて

その背後にある夏・秋・冬、それらの季節・四季が巡って春がやってきた、というニュアンスが強く含まれます

ですので、「春水満四澤」の意味をとる時には、この季節が巡るというニュアンスを意識して、いろいろな物事に当てはめればよいと思います

禅語の意味の取り方は、一人一人異なってよいものなので、みなさん思うことにぜひ当てはめて読んでみてください

例えばですが

「人生」について当てはめるなら

苦しい時・ツライ時があっても、それは季節が巡るようにいつか過ぎていく、と取れますし

「感情」について当てはめるなら

悲しみや怒りのような感情に襲われ苦しい時も、それも季節と同じでいつか過ぎて治まっていく、と取れます

どちらにしても、春夏秋冬巡っていくことなので、人生なら人生、感情なら感情について

そのことについて「思いすぎず、手放すこと」を教えてくれるように思う禅語です

まとめ

ということで、禅語「春水満四澤」についてまとめますと

日本語訳は「春には雪解け水が、あちこちの沢に満ちてくる」

陶淵明作の四季を歌った漢詩『四時歌』が原典

何事についても季節と同じように巡っていくので、「思いすぎず、手放すこと」を教えてくれる

意味としても気持ちをフッと楽にしてくれる禅語ですし、全体を通して読んだ時には詩としても美しい、大好きな禅語です

この記事が、「春水満四澤」について調べている方の、少しでもお役に立ったなら嬉しいです

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