【禅語】「和敬清寂」の意味・解釈|わかりやすく解説

掛軸の禅語
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『mame-sadou.com』にようこそ、表千家流の茶道講師・やましたです!

禅語「和敬清寂わけいせいじゃく」の意味を簡単に解説した記事です。

千利休が茶道の精神を四字で表した言葉とされ、お茶会やお稽古など茶の湯の世界の掛け軸としてよく使われます。

この記事を読み終えることで、茶道の精神を伝える和敬清寂とは何か、一通り知っていただけるはずです!

では早速見ていきましょう!

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「和敬清寂」とは

千利休が茶道の精神を四語で表した言葉とされます

だた、実際は千利休が作った言葉ではなくて、利休の没後100年以上が経ってから、利休茶の湯の精神を表す言葉として作られたものです

「和」「敬」「清」「寂」

のそれぞれ一字ずつに意味があり、それらを合わせて作られた言葉です

「和」:心を合わせること

「敬」:お互いを敬いあうこと

「清」:清らかであること

「寂」:寂びた美であること

この4つのことが茶道の軸となる精神であるとされました

「和」の字に関しては「仲良くする」という意味もありますが、利休さんの前の時代、商人たちが茶の湯で仲良くなって商売につなげる、ということが行われていて、利休はそのことについて否定的だったため、「(茶道において)心を合わせる」という意味の方がふさわしいと思います。

全て茶人の心についてと言えますし、「静」「寂」は茶道の空間や道具など物についても言っています

以下でそれぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう!

「和」「敬」「清」「寂」の意味

「和」

茶道というものは、亭主側と客側とがあるわけですが

例えば、USJのアトラクションを体験するとき、スタッフ側がそのアトラクションを作って、客側の私たちはそれを見ているだけで楽しめ、成立します

しかし、茶道の亭主側と客側はそういうものではありません

茶道においては、客側にも作法があって、やるべきことがあります

その客側の作法がスムーズにできると、お茶会もスムーズに流れていきますし

作法が身についてくると、言葉を交わさずとも作法によって言葉を交わしているような、阿吽の呼吸が生まれます

その客側の振る舞いはお茶会の雰囲気を作ります

例えば、場を和ませるために話をしたり、集中すべきところはあえて黙っていたり、お茶会の雰囲気に客側の影響は大きいです

このように、主客に関わらず、茶道においては、そのメンバ一人一人が心を合わせて「お茶会を良いものにしよう」と心がけることが大切で

そのことを表すのが「和敬清寂」の「和」です

「敬」

「和」のところでお話したように、茶道は主客が一緒になって作るものです

そうなると、その中でお互いに敬いあうことが大切です

例えば、利休の高弟が書いた『山上宗二記』には、茶道の空間で避けた方が良い雑談の内容についてまで、下のように挙げられています

「我が仏隣の宝婿舅 天下のいくさ人の善し悪し」

=宗教、財産、婿・舅のこと、人の良い悪い

一同で心を合わせて一つのお茶会を作るために、お互いに敬意を持つ、適度な距離感を保つことが大切にされてきました

このことを表すのが「和敬清寂」の「敬」になります

「清」

清らかであることについては、物だけでなく、精神・所作についてまで言っています

まず物を清らかにするということは、昔は今よりずっと大変なことでした

例えば水に関しては、今は蛇口をひねればキレイな水が出てきますが、昔は井戸水ですから、汲んだままではゴミなんかが浮いているので、それを漉して使っていました

ですから当時は、清らかさを維持するということはとても大変なことで、茶道の重要な精神とされたのでしょう

そしてやはり心の清らかさも表しています

表千家ではよく、精神や所作に関しても理想的な姿として、「水が流れるように」と言い表されて、そうした一人一人が心がけるべき精神や所作を表すとも言えます

「寂」

「寂」についても物だけでなく、精神・所作についてまで言っています

茶道の美意識はよく「侘び寂び」と表現されますが、その「寂」です

「寂」とは、侘びた枯れたような美や、何もないようで満たされているような心の状態を表しています

まず「物」については、茶道具の美意識に関することと言えます

飾り立てた美しいものより、侘び枯れた道具こそが茶道にはふさわしいです

茶道の最初期においても、当時世間で評価されていた道具は使わず、あえて店先に並んだ日常雑器の中から、「寂」の美を持った茶道具を選び出し使っていました

茶人の精神についてもそうした「寂」に心を寄せるものであるべきで、また、所作についても、目に立つことのない「寂」が理想とされます

まとめ

ということで、まとめますと、「和」「敬」「清」「寂」のそれぞれ一字ずつに意味があり、茶道の理念を表します

「和」:心を合わせること

「敬」:お互いを敬いあうこと

「清」:清らかであること

「寂」:寂びた美であること

「和敬清寂」は、利休没後に作られた語ではありますが、長く茶道の世界で大切に伝えられてきて、茶道の精神を昔から今に伝えてくれる言葉です

茶道の精神を表す「和敬清寂」について、みなさまに知っていただくのに、お役に立ったならば嬉しいです

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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