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禅語「日日是好日」の意味・解釈を、原典のエピソードから解説した記事です。
2018年に黒木華さん主演の「日日是好日」という映画が上映され、この言葉をご存知の方も多いかと思います。(下の記事で感想を書いています)
お茶会やお稽古など茶の湯の世界でも、掛け軸としてよく使われる禅語なので、茶道をしている方にも馴染み深い禅語のはずです。
この記事を読み終えることで、そんな禅語・日日是好日とは何か、一通り知っていただけるはずです!
では早速見ていきましょう!
「日日是好日」の現代語訳
禅語「日日是好日」を訳すると
「毎日が良い日である」
となります。
日々生活していると、良いことが起きる「良い日」もあれば、悪いことが起きる「悪い日」もあります。
では、「毎日が良い日」とは?
どんな風に読み取れるか、以下で見ていきましょう
「日日是好日」の原典
「日日是好日」は禅の世界の公案(『碧巖録』に収録)です。
公案とは、禅宗で雲水(修行僧)が修行するために師匠から与えられるお題のことです。
修行をする中で多い時は1日に数度も師匠に呼び出され、回答を求められては追い返され、また回答の提出を求められ、と繰り返します。
公案「日日是好日」の内容
雲門という高名な禅師が弟子たちに問いました。
「これまでの15日間のことは問わないが、これから15日以後の自分の心境を一言で言ってみよ」
誰も即答できずにいると、雲門自ら言った。
「日日是好日」(毎日が良い日である)
「日日是好日」の意味
「日日是好日」の意味を、上の公案の内容を受けて解説していきます。
✖️引き寄せの法則
ここで間違いたくないのは、
「15日後のその日も、いつも、良いことが起こる日である」と思うことでポジティブになろう、悪いことを引き寄せないでおこう、
というような「引き寄せの法則」ではないということ。
事実として、
15日後のその日に、良いことが起こるかも、悪いことが起こるかも、わかるものではありません。
その認識に立った上でなお、その日も「良い日である」と言っているところに価値があるのです。
人生に無駄な日は1日もない
なぜ未来の、何が起こるかわからない日を良い日だと言い切れるのか?
やっぱり
意地悪をされたら嫌な気持ちです
人との別れがあったらツライです
嫌なこと、ツライこと、そんな「悪い日」もできれば避けたいものですが、どうしてもなくなることはありません。
その時のマイナスの感情も当然のもので、否定する必要もありません。
ただ、
人生を訓練と考えると、嫌なことも、ツライことも、全てが自分を成長させてくれる可能性のあるものです。
そこに目をやり、
「悪い日」の感情に縛られたままでなく、人生という広い視点に移ることができた時には、
そうした「悪い日」は、自分自身を成長させる、深みを与えることに関して「良い日」となるのかもしれません。
ただ、
こう考えるのが良いと知ったからと言って、すぐに「良い日だ」と100%そうと思い込むことは難しいものです。
そのためにお坊さんは修行してきたのです。
そう思える方は悟っています
どうしても
本当にツライこと、悲しいことはやっぱりあります
それでも、
そう思うことで、自分の感情にただただ捕らえられてしまっている状態よりも、少しだけ現実を受け入れて前向きになることはできます。
まとめ
ということで、「日日是好日」の禅語についてまとめると、
・訳すると「毎日が良い日である」
・人生にはツライことも悲しいこともある
・人生を訓練と捉えると、どんなことも自分自身を成長させてくれる鍛錬となる
・自分の成長という視点に立つことで「全てが良い日である」
人は、
人の持つ認識の奴隷になって苦しむのでなく
人の持つ認識の主となって幸福になるべき
こんなことを教えてくれるように感じる禅語です。
苦しい時にこそ思い出したい禅語です
茶道をやる中で、その時々にいろいろな禅語に出会ってきました。
人生のその時々、特に苦しい時辛い時ほど、なにか気づきをくれ、少し楽にしてくれたり。
そんな禅語を、これからも少しずつ紹介していけたらと思います。