初めまして!表千家流の茶道講師・山下晃輝と申します
今回の記事では、
茶道ではなぜお茶碗を回して飲むのか?
という疑問にお答えします。
歴史的には、茶の湯がはじまった頃には正面から飲まれていたのが、その後回して飲まれるようになりました。
なるほど!な、深〜い理由があり、読み終えると、茶道の奥深さをさらに感じていただけるはずです。
私は表千家流ですが、他の流派の方にも共通するお話かもしれません
この記事のポイントは、
・お茶碗の回し方
・関係するお点前の簡単な説明
・お茶碗を回しだした理由
の3点です。
では、早速解説していきます。
表千家流のお茶のいただき方
表千家流では、お茶をいただく際、時計回りに90度を2回に分けて回します。
流れとしては、以下のような形です。
①両隣との間に茶碗を置いて挨拶
②膝前に茶碗を置いて挨拶
③茶碗を持ち上げ押し戴く
④時計回りに90度を2回に分けて回す
⑤味わって飲む
つまり、正面から右90度の位置から飲むことになります。
なぜお茶碗を回すのか
では、本題の
なぜ茶道でお茶を飲むとき、お茶碗を回すのか?
ということについて解説していきます。
それにはお点前のことが関係してきますので、まずは簡単にそのお話しから。
お点前でお湯を捨てる位置=飲む位置
茶道のお点前は、おいしくお茶を点てるための行程の積み重ね、が作法になっているものです。
そのうちに、お茶碗にお湯を入れて、「お茶碗を清める、温める」という行程があります。
↑こんな感じです
おいしい抹茶を点てるのにとても大切な工程です
この時の、清め温め終えたお湯は捨てなければいけませんよね。
このお湯を捨てるのが、茶碗の正面から右90度の位置からになります。
つまり、
飲む位置=お湯を捨てる位置
となるわけです。
では、なぜこういう作法になったのか、次に見ていきます。
茶碗を回すようになった理由
歴史的には、茶の湯という文化がはじまった頃にはお茶碗の正面から飲んでいました。
これは、普通に飲み物を飲む時のことを考えれば、当然ですよね。
では、それがどうして回すようになったかというと、熟達した茶人による客としての心遣いからでした。
先程説明したように、お点前の茶碗を清める行程で、正面から右90度の位置からお湯を落とします。
お点前が使うお茶碗は最初は新しいものですが、その後は客に出した茶碗を返してもらって再度清めて使う、となっていきます。
(現代でも少人数でのお茶会ではこういうやり方になります)
「それならば、客はそこから飲むと、お点前さんが清めるのが楽になるのではないか?」
と気づき、回して飲むようにしていったところ、そうするのが広まっていき、作法になったのです。
「こういうルールにしましょう!」と始まったのではなく、客側からの、お点前さんを思っての心遣いから生まれてきたものなのですね
まとめ
歴史的には、最初は回さず正面から飲まれていたのが、
客側からの、お点前さんを思いやっての心遣いから、
お茶を飲むときにはお茶碗を回す、という作法が生まれました。
まとめると、
・お茶碗は90度を2回に分けて回す
・客の飲む位置=点前でお湯を捨てる位置
・点前のことを客側が思い遣って始まった
作法の一つ一つに、こうした意味、歴史があることが、茶道の奥深い魅力ですね。
また、こうした作法の意味を知ることで、心のこもった作法ができるようになりますね