表千家流の棚「三木町棚」のお点前・飾り方について、画像付きで解説した記事です。
使う季節や歴史・由来、棚の造りなども一緒に解説しています。
その辺もご興味ある方はご確認ください
三木町棚は、引き出しという、他の棚にはない珍しい特徴があり、お点前での扱いも特殊なものになります
また、茶道の棚には季節感があるので、一度三木町棚を使うと次は1年後、なんてことも多く、なかなか身につけることが難しいです
この記事では、三木町棚の基本のお点前について、画像も一部用いて、初めて学ぶ人にもわかりやすくを意識して解説しています
表千家で茶道をされている方に、ぜひ予習や復習に使っていただければと思います!
それでは早速見ていきましょう!
表千家・三木町棚のお点前
三木町棚のお点前は、多くの棚を使ったお点前と同じく、棚の飾り方・飾りの崩し方にポイントがあります
その他の部分は、他のお点前と同じです。他のお点前と共通の部分については下の記事で解説しています!
ですので、三木町棚のお点前の解説として、基本の薄茶点前の飾り方・飾りの崩し方を説明していきます
三木町棚の飾りは二飾りまでです
・初飾り
【地板】水指
【天板】薄茶器
【引き出し】なし
・二飾り
【地板】水指
【天板】柄杓と蓋置を「入り飾り」に
【引き出し】薄茶器
初飾りから始まり二飾りを残す場合
水指の蓋をしめるところまでは普段のお点前と一緒です
柄杓は飾るので「湯返し」をしておきます
水指の蓋を閉めると、柄杓を右手で天板に斜めに飾り、蓋置を右手でとり左手に乗せ(炉の時は棚の方に向き直り)
蓋置を柄杓の「節の真横、合の真下」になるように置き、「入り飾り」をつくります
お茶碗を仮置きし、引き出しを右手で開け、薄茶器を一手で入れ、引き出しを閉めて、二飾りの完成です
この引き出しの扱いがポイントです!
後はいつも通り、道具を引いていきます
引き出しは「3分の2」ほど開けるのがよいです。そうすると棚の真ん中に薄茶器を置けます
二飾りを崩す場合
お点前の最初、持ち出したお茶碗を仮置きし、引き出しを開け、薄茶器を一手で棚前に
引き出しを閉め、仮置きしていたお茶碗を置き合わせます
二飾りを崩すときも引き出しの扱いがポイントになります!
建水を持ち出すと、天板の蓋置を右手で取り左手に乗せ、(炉の時は居前に向き直り)
いつもの位置に蓋置を置きます
それから右手で柄杓を取り、蓋置に掛け、礼
以降は一般的な薄茶点前と一緒です
三木町棚の季節
三木町棚を使う季節としては、春の3月〜5月くらいや、秋の9月や10月くらいが多いです
後ほど触れますが、木地の非常に素朴な造りの棚なので、春や秋に似合います
三木町棚の歴史と由来
表千家は、四代・江岑から紀州徳川家に仕えていました
その四代・江岑が、紀州の下屋敷に滞在している時、残った材があるのを見つけて、若党に指示して小棚を作らせました
その下屋敷があった地名が「三木町」といい、そこで作られたこの小棚は「三木町棚」と呼ばれるようになりました
紀州と表千家の縁の深さを伝える棚でもありますね
三木町棚の造り
余った材木で作られたため色んな材の寄せ集め(樅(もみ)、檜、杉、竹)となっていて
また、職人が作ったものでもないため、引き出しもぴったりでなくガタガタしていたり
地板の四隅の足の形がすべて違った形に、あえてされています
あえて素人っぽく作ることで、侘びを感じさせてくれますね
まとめ
ということで、三木町棚についてまとめますと
・三木町棚のお点前では、引き出しの扱いに特徴がある
・三木町棚が使われる季節は、春3〜5月か、秋9月や10月が多い
・四代江岑が三木町で作らせたから三木町棚
・素人が残った材で作った侘びた風情
由来に表千家の歴史を感じられますし、他の棚にない引き出しという特徴がお点前にも変化を与えてくれ、お稽古としてもおもしろ味のある棚ですね!
以上です!
この記事が、三木町棚について調べているみなさまの、少しでもお役に立ったならば嬉しく思います
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!