初めまして。表千家流の茶道講師・山下晃輝です。
お点前中、客の前で茶巾をたたみ直す絞り茶巾というお点前があります。絞り茶巾のお点前には夏バージョンと冬バージョンとがありますが
この記事では、夏の絞り茶巾のお点前の流れ・意味について解説していきます。
お稽古の予習・復習などにもお役立てください
絞り茶巾のお点前の流れ
準備
絞り茶巾のお点前では、準備の時、茶巾をいつも通りキレイに畳み終えてお茶碗に仕組んではいけません
茶巾は、ぎゅっと水を絞った形のまま、茶巾の耳が左に倒れるようにお茶碗に仕組んでおきます
夏の絞り茶巾の場合、絞ったらまだ水が落ちるような、絞っているのだけど絞りきっていない状態にしておくのがポイントです
お茶碗は、夏のお茶碗・平茶碗が使われることが多いです
その上に茶筅を載せ、茶杓を掛け、とそれ以外はいつも通りに準備して、お点前に入ります
お点前
・運びなら運び、棚なら棚で、普段通りのお点前を始めていきます
・茶筅とおしを終え、お湯をお茶碗の中で2周半回した後、お湯を捨てたところで、一旦お茶碗を膝前に置きます(普段はここで茶巾でお茶碗を清めます)
・ここで、キレイに茶巾を畳み直します
・茶巾を畳み終えるとお茶碗に入れ、お茶碗を持ち上げ、お茶碗を茶巾を使って清めていきます
・以降、いつも通りのお点前を進めていきます
この茶巾をたたみ直すタイミングがポイントです
絞り茶巾のお点前の意味
夏の絞り茶巾の意味については
1.お茶碗を冷ます
2.茶巾を絞る音で涼を演出
この2点があります
お茶碗を冷ます
茶筅とおしの後、お湯をお茶碗の中で回すという行程には、お茶碗を温める・清めるという意味があります
夏の茶室は暑いものです
お湯をお茶碗の中で回す行程の後、いつも通りにすぐ茶巾で清めお茶を点てていくのではなく
あえてお湯を捨ててから茶巾をたたみ直し時間を作ることによって、少しでも美味しく飲みやすいようにお茶碗を冷ますということになります
客からすると、お茶碗を冷ましてくれているという印象によって、心の面でもさらに美味しく感じます
茶巾を絞る音で涼を演出
お点前の準備のところで触れましたが、絞るとまだ水が落ちる状態に茶巾をセッティングしておきます
そうすることで、絞り茶巾のお点前の中で、茶巾をたたみ直すために建水の上でギュッと絞り直す際
茶巾から水が建水の水面に落ちる音が響きます
静かな茶室においては、この音は結構感じられ、この水が落ちる音に、客は涼を感じさせられます
まとめ
ということで、絞り茶巾のお点前(夏)についてまとめますと
・絞り茶巾のお点前には夏・冬の二種類ある
・お点前では茶巾をたたみ直すタイミングがポイント
・お茶碗を冷ます・茶巾を絞る音で涼を演出するのが目的の真夏のお点前
暑い中に、茶巾を絞り水が落ちる音を聞くと、ほんとに涼しさが感じられます
茶道は季節を感じるもので溢れていますが、この絞り茶巾のお点前もその一つですね
夏だけの絞り茶巾のお点前を楽しみましょう